国内の建設機械市場は、公共工事が引き続き減少傾向にあるものの、災害復旧需要に加え、堅調な民間設備投資、中古車の海外輸出による国内ストック台数の減少などを背景に、油圧ショベルを中心として、前年同期を上回るレベルで好調に推移しました。
また、海外の建設機械市場についても、東南アジア地域全体の需要は堅調で、米国や欧州市場も拡大基調を持続しており、さらにはマクロコントロールによる投資抑制策の影響でショベルなどの需要が急激に冷え込んでいた中国市場にも漸く底打ち感が出てくるなど、総じて好調に推移しました。
コベルコ建機グループは、このような事業環境の下、世界的に旺盛な建機需要の拡大をとらえて、中国を除く世界各地で販売台数を伸ばしました。また、収益面では、鋼材など資材費高騰の影響によるコストアップの吸収を図り、国内外における販売価格の是正に注力しました。
また、中国市場では、売上・収益ともに前年同期を下回りましたが、足元のショベル需要の回復に伴い、今年3月に生産を開始した中国第二生産工場「杭州神鋼建設機械有限公司」の操業も順調に立ち上がってきており、2005年度下期から本格稼働の目処が立ちました。これにより、中国内陸部および沿岸部の2拠点体制による油圧ショベルの生産が本格的にスタートします。
このほか、将来のグローバル展開、競争力強化を見据えた事業基盤の構築に注力しました。
これらの結果、2005年9月中間期(2005年4月~2005年9月)の業績は、以下の通りとなりました。
<2005年9月中間期の実績> |
{単位:百万円、( )内は前年同期比} |
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
連 結 |
2005年9月中間期 |
92,945
(+0.5%) |
3,442
(△15.0%) |
3,913
(△4.6%) |
2,724
(+16.5%) |
2004年9月中間期 |
92,509 |
4,050 |
4,102 |
2,339 |
単 体 |
2005年9月中間期 |
59,467
(+4.0%) |
2,169
(△15.8%) |
2,868
(+13.9%) |
2,633
(+113.4%) |
2004年9月中間期 |
57,195 |
2,576 |
2,518 |
1,234 |
連結の売上高は、国内事業が467億円(前年同期比 +4.0%)、 海外事業が462億円(同 △2.9%)で、全体としては929億円(同 +0.5%)となりました。
財務面では、外部負債の圧縮および株主資本比率の向上に取り組み、更なる財務の健全化が図れました。
また、CSR(企業の社会的責任)の観点から、当社は8月に米国で発生したハリケーン・カトリーナ被災に対する支援として、当社の世界包括提携パートナーであるCNHグローバル社との連携により、油圧ショベルを寄贈するなど、積極的な社会的貢献に努めました。
■国内事業
国内向け新車販売では、主力メニューである油圧ショベルの需要が前年同期比で+9%に拡大する中で、更なる販売価格の是正に注力するとともに、復興需要の取り込みや、環境関連分野における積極的な顧客開拓やマーケティング活動などが奏功し、販売台数を大きく伸ばしました。
特に、環境関連分野では、都市再開発に伴う高層ビルの解体作業の市場が着実に伸びており、当社が得意とする多機能な大型ビル解体専用機の販売が引き続き好調に推移しました。
加えて、6月には新モデルとして100トン級の大型ビル解体専用機『SK950LCD』を投入し、更なる解体メニューのラインナップ強化が図れました。
また、教習事業におけるユーザー層の拡大、収益力の向上を目指して、4月より新会社「コベルコ教習所(株)」の運営を開始しました。
■海外事業(中国事業を除く)
海外においてはCNHとのグローバルアライアンスに基づき、(1)当社の主担当地域であるAPACエリアを中心とした事業展開、(2)欧米におけるCNHとの合弁事業の更なる強化に取り組みました。
APECエリアのうち、東南アジア地域においては、インドネシアが調整局面にあるものの地域全体の需要が引き続き堅調に推移する中で、積極的な拠点展開と販促活動に注力し、新車の販売台数とシェアを大きく伸ばすことができました。また、ベトナムでは現地法人の拠点拡充としてハノイ支店を7月に開設し、インドネシアでは5月に現地企業との合弁で中古建機販売会社を設立するなど、ストックビジネス強化へ向けた体制整備に注力しました。
欧米におけるCNHとの合弁事業では、堅調な住宅投資などに支えられて引き続き需要が旺盛な米国および欧州市場向けで新車販売台数を伸ばしました。また、イタリアの合弁会社「ニューホランド
コベルコ コンストラクション マシナリー」において、コベルコからの技術供与によるミニショベルの生産が本格的にスタートしました。
さらに、BRICsの一角として成長が期待されているブラジルでは、CNHラテンアメリカの現地工場において、コベルコからの技術供与による南米地域向け20トン級油圧ショベルの生産を6月より開始しました。
■中国事業
中国市場の急激な変化への対応を図るとともに、将来への更なる事業基盤強化を目指して、下記の諸施策を実行しました。
○ |
今年3月より油圧ショベルの現地生産を開始した中国第二生産工場「杭州神鋼建設機械有限公司」(浙江省杭州市)において、足元のショベル需要の回復を機に、10月からの本格稼働開始に向けて体制整備を行いました。(中国内陸部と沿岸部の2拠点体制による競争力強化) |
○ |
ショベル用製缶構造物の一部メニュー(アームおよび足回りなど)について、中国第二生産工場への生産集約の準備を進め、日本・米国への供給基地としての機能強化を図りました。 |
○ |
部品供給・サービス体制強化の一環として、上海・成都・広州に次ぐ新たな拠点として『華北サービスセンター』を北京に設立し、これら4拠点を核に中国全土をカバーするサービスネットワークを構築しました。 |
○ |
都市部を中心に拡大しているミニショベル需要に応えるべく、2005年度下期からの新モデル投入準備を整えました。 |
05年度下期は、鋼材・原油などの購入資材費の高騰、部品調達における物量の確保、中国市場の需要動向、為替の動向などが懸念されますが、世界的に旺盛な建機市場は引き続き堅調に推移すると見込まれます。
このような良好な市場環境の中、将来の収益拡大に向けて、国内外の排ガス3次規制に対応した新モデルの開発や、中国第二生産工場も含めたグローバル最適生産体制の構築などの重点課題に取り組みつつ、05年度通期ベースで前年度を上回る業績の達成を目指して参ります。
当社では、05年度を (1)経営の改革、(2)生産・開発の改革、(3)中国事業の改革 の年と位置づけ、将来へ向けた収益構造の再構築を推進しています。そして、06年度からスタートする「新中期3ケ年計画」にグループ一丸となって取り組み、“変化に強い事業体”を目指して参ります。
<2005年度通期の見通し> |
{単位:百万円、 ( )内は前年度比} |
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
連 結 |
190,000
(+8.8%) |
6,700
(+9.9%) |
7,500
(+15.3%) |
4,900
(+43.3%) |
単 体 |
120,000
(+7.4%) |
3,400
(±0%) |
3,700
(+20.0%) |
3,100
(+136.3%) |
* 2005年度下期における為替レート前提: 1米ドル=105円、1ユーロ=130円 |
以上
○決算発表関連資料はこちら
◇決算短信(連結・単体)へ
社 名 |
コベルコ建機株式会社 |
英 社 名 |
KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY CO.,LTD. |
創 立 |
1999年10月1日 |
本社所在地 |
東京本社:東京都品川区東五反田2-17-1
TEL 03-5789-2111(代表) |
資 本 金 |
160億円
(株)神戸製鋼所 80%、CNHグループ 20% |
代表取締役 |
島田 博夫(しまだ ひろお) |
事業内容 |
建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス |