国内の建設機械市場は、公共工事が減少したものの、油圧ショベルやミニショベルを中心とした機械の入れ替え需要などにより、引き続き堅調に推移しました。
一方、海外の建設機械市場においては、近年急拡大してきた中国が政府の金融引き締め策の影響で急速に冷え込みましたが、欧米ならびに東南アジアは拡大傾向にあり、その他のエリアも含めて総じて需要は好調に推移しました。
2004年度4月より新体制としてスタートしましたコベルコ建機グループは、このような事業環境の下、将来のグローバル展開や収益力拡大を見据えた事業基盤の整備に注力しました。
世界的に旺盛な建機需要の拡大をとらえて販売台数を着実に伸ばすとともに、資材費高騰の影響ミニマイズに向けた国内外における販売価格の是正や、調達力強化およびコストダウン活動に取り組みました。また、中国市場においては、急激な需要低迷の中で減産対応および債権管理の強化を図るとともに、一方では中長期的な市場拡大に備え、生産・販売・サービス体制の拡充を着実に進めました。
これらの結果、2005年3月期(2004年4月~2005年3月)の業績は、以下の通りとなりました。
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
連結 |
当期(2004年度) |
174,511 |
6,095 |
6,502 |
3,420 |
前期(2003年度) |
183,987 |
8,067 |
6,150 |
2,824 |
単体 |
当期(2004年度) |
111,752 |
3,401 |
3,084 |
1,312 |
前期(2003年度) |
128,524 |
3,910 |
3,287 |
2,121 |
連結の売上高は、国内事業が933億円、海外事業が812億円で、全体としては1,745億円となりました。 財務面では、外部負債の圧縮および株主資本比率の向上に取り組み、更なる財務の健全化が図れました。
また、2004年度は災害が多発した1年でもありましたが、当社は建設機械メーカーの使命として、新潟県中越地震の被災地に対して建設機械を寄贈し、また、スマトラ島沖地震においては世界包括提携パートナーであるCNHグローバル社と連携して建設機械や他支援物資を提供するなど、積極的に社会的貢献に努めました。
■国内事業
国内向け新車販売では、重機ショベルやミニショベルなどの需要が拡大する中で、フルモデルチェンジした新型ミニショベル「ビートル」シリーズや、GPS機能を標準搭載した重機ショベルなど、高付加価値な新製品の相次ぐ投入と、積極的な販売・サービス活動が奏功し、着実に販売台数を伸ばすことが出来ました。
また、2005年1月からの自動車リサイクル法本格施行などで益々高まる環境ニーズに伴い、当社が得意とする自動車解体機や超大型建物解体機など、ショベルをベースマシンとした環境リサイクルメニューの販売が、引き続き好調に推移しました。
さらにストックビジネスによる収益力の向上を図り、昨年5月に神戸中古車センターを開設し、また、2005年4月からは教習事業を別会社化して新会社「コベルコ教習所(株)」の運営を開始するなど、ユーザー層の拡大に向けた体制整備にも取り組みました。
■海外事業(中国事業を除く))
海外においてはCNHとのグローバルアライアンスに基づき、(1)当社の主担当地域であるAPACエリアを中心とした事業展開、(2)欧米におけるCNHとの合弁事業の更なる強化に取り組みました。
APACエリアのうち、ASEAN地域においては、需要が急回復してきたインドネシアでの積極的な拠点展開と販促活動に注力し、新車の販売台数とシェアを大きく伸ばすことができました。また、需要が旺盛な中古車事業では、現地企業とのタイアップや、昨年7月より営業を開始したベトナム現地法人を中心とした販路拡大が奏功し、大幅な台数増加を達成できました。
欧米におけるCNHとの合弁事業では、需要が旺盛な米国市場向けOEM製品のメニューとボリュームを拡大するとともに、欧州においては、イタリアの生産・販売拠点への技術移転を完了し、重機ショベル全8モデル(13トン~48トン)の量産を開始しました。
また、欧州と南米においては、2005年2月からCNHグローバル社による新ブランド戦略がスタートしました。
更に、新型ミニショベル「ビートル」シリーズの海外展開についても本格的な販売を開始しました。
■中国事業
足元の中国市場の急激な変化への対応を図るとともに、将来への更なる事業基盤強化を目指して、下記の諸施策を実行しました。
○ |
将来の需要拡大に備えて、第二生産工場「杭州神鋼建設機械有限公司」(浙江省 杭州市)を2005年1月に竣工し、3月より20トン級油圧ショベルなどの現地生産を開始しました。 |
○ |
「成都神鋼建設機械有限公司」(四川省成都市)における減産対応についても、在庫調整に一定のめどが立ったため、昨年末より操業を再開しました。 |
○ |
マクロコントロールの影響により、ショベル販売に対する金融引き締めがある中で、債権保全を念頭に置いた適切な販売活動に努めました。 |
○ |
更なるサービス強化を目指して、GPS機能などITを活用した『建機遠隔管理システム』を開発し、重機ショベルに標準搭載して2005年1月より販売・サービスを開始しました。 |
○ |
部品供給・サービス体制強化の一環として、上海・成都に次ぐ新たな拠点『広州サービスセンター』(広東省広州市)を設立し、2005年3月より営業をスタート致しました。 |
世界の建機市場は、2004年度と同等レベルの需要が期待されますが、一方では、中国政府によるマクロコントロールの継続や、鋼材を中心とする購入資材費の高騰による影響など、収益圧迫要因の更なる深刻化が懸念されます。
また、2005年度は、2006年10月から国内で実施予定の排ガス3次規制に対応した新モデルの開発ピークや、需要回復遅れによる中国の現地生産2工場の低位操業など、将来の収益拡大のための一時的な負担増加が余儀なくされる状況と予想されます。
当社は、2005年度を経営、開発・生産および中国事業の改革の年と位置づけ、このような事業環境を踏まえつつ、下記の重点課題に取り組み、将来へ向けた収益構造の再構築を目指して参ります。
<重点取り組み課題>
○ |
資材費高騰を背景とした国内外での販売価格是正 |
○ |
CNHグローバル社および中国事業合弁パートナーとの連携、トータルマネージメント力強化 |
○ |
ピークを迎える新機種開発の着実な推進 |
○ |
グローバル最適生産体制の構築によるコスト競争力の向上 |
○ |
環境関連 メニューの大型化ニーズに対応した新機種投入 |
○ |
伸長著しいASEAN地域での流通網拡充による販売体制強化 |
○ |
コンプライアンス活動の浸透 |
<2005年度通期の見通し> |
{単位:百万円、 ( )内は前年度比} |
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
連 結 |
170,000
(▲2.6%) |
4,000
(▲34.4%) |
3,700
(▲43.1%) |
2,800
(▲18.1%) |
単 体 |
110,000
(▲1.6%) |
2,000
(▲41.2%) |
1,500
(▲51.4%) |
1,200
(▲8.5%) |
*2005年度における為替レート前提:1米ドル=105円、1ユーロ=135円 |
以上
○決算発表関連資料はこちら
◇決算短信(連結・単体)へ
社 名 |
コベルコ建機株式会社 |
英 社 名 |
KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY CO.,LTD. |
創 立 |
1999年10月1日 |
本社所在地 |
東京本社:東京都品川区東五反田2-17-1
TEL 03-5789-2111(代表) |
資 本 金 |
160億円
(株)神戸製鋼所 80%、CNHグループ 20% |
代表取締役 |
島田 博夫(しまだ ひろお) |
事業内容 |
建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス |