【2003年9月中間期の概況】
世界の機械市場は、インフラ整備や都市開発の活発化によって急拡大する中国市場、インドネシアを中心に堅調に推移している東南アジア、緩やかな回復基調に転じた北米市場など、総じて明るい兆候が見えてきました。また、国内市場においても、4-9月の建設機械需要が前年同月比で6カ月間連続のプラスとなり、ようやく底打ち感が出てきました。
この様な事業環境変化の下、コベルコ建機グループは、「経営のスピードアップ」をモットーに、将来のグローバル展開へ向けた事業基盤整備に鋭意取り組んでまいりました。
| ○ |
豊田通商(株)との中国における建設機械事業を中心とした協同事業展開を合意
| ・ |
戦略的な投資を行う合弁会社「コベルコ豊田通商建機ホールディングアジア(株)」(KTH) |
| ・ |
中国浙江省杭州市における建設機械の第2生産拠点 |
|
| ○ |
中国合弁パートナー「成都工程機械(集団)有限公司」の民営化を機に当社が39%出資し、新会社「成都神鋼工程機械(集団)有限公司」(CKCMG)を設立
⇒ 製販一体運営を開始 |
| ○ |
上海におけるサービスセンター「神鋼建機(上海)工程機械有限公司」(KSCM)の 設立 |
| ○ |
中古車事業強化に向け中古専門会社「コベルコ建機インターナショナルトレーディング(株)」を設立 |
| ○ |
欧米のクレーン販売体制強化の一環として両エリアにクレーン専門の販売会社を設立
<北米エリア> 「KOBELCO CRANES NORTH AMERICA INC.」(KCNA、本社:米国)
<欧州エリア> 「KOBELCO CRANES EUROPE LTD.」(KCE、本社:英国) |
また、国内においては、高まる環境ニーズや社会ニーズに対応した、独創的で付加価値の高い新製品を相次いで開発し、市場へ投入致しました。
| ○ |
業界初のオートアイドルストップ機能付き油圧ショベル「SEエディショングレードアップ」 |
| ○ |
舗装上での作業性に優れたホイール式スクラップハンドリング専用機「HK350W」 |
| ○ |
国内最大級で且つ輸送性を高めたテレスコピッククローラクレーン「TK750」 |
以上の様な、ユーザーニーズに対応した高付加価値商品の新規投入に加え、レンタル会社向けを始めとする積極的な営業展開が奏功したことにより、旗艦メニューの重機ショベルでは国内の目標シェア15%を達成し、クローラクレーンでは当中間期にシェア40%強と国内トップの座を奪還することができました。
当中間期においては、中国を始めとする海外現地生産および完成機輸出が好調に推移したことに加え、国内向け新車需要が回復してきたこともあって、国内・海外すべての主要エリアで新車販売量を拡大することが出来ました。更には中古車・部品・整備などストックビジネスによる収益力向上、海外生産向けCKD部品収益・技術料収入(ロイヤリティ)の拡大などが寄与し、前年同期比で大幅な増収増益となりました。
特に、中国での現地生産台数が前年同期比で倍増したことが大きく収益に貢献しました。
2003年9月中間期(2003年4月~9月)の業績は、以下の通りです。
| <2003年9月中間期の実績> |
{単位:百万円、 ( )内は前年同期比} |
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期利益 |
| 連結 |
2003年9月中間期 |
93,260
(+27.2%) |
3,476
(+134.5%) |
2,838
(+321%) |
1,362
(+669%) |
| 2002年9月中間期 |
73,330 |
1,482 |
674 |
177 |
| 単体 |
2003年9月中間期 |
63,229
(+34.7%) |
1,609
(+87.5%) |
1,627
(+407%) |
1,210
(33.6倍) |
| 2002年9月中間期 |
46,943 |
858 |
321 |
36 |
連結の売上高では、海外事業が450億円(前年同期比 +48.4%)、 国内事業が482億円 (同 +12.2%)とともに増え、全体としては932億円(同 +27.2%)となりました。
財務面では、事業規模拡大に伴う運転資金の増加によりフリーキャッシュフローは若干のプラスにとどまりましたが、商社金融の活用による売上債権の流動化のスキームを完成させるとともに、資金調達の多様化に向けて「格付け」を取得するなど、下期以降の財務体質改善を確実なものにしました。
なお、配当については、昨年度を上回る配当を年度末に実施する予定です。
【2003年度上期の事業別状況】
■中国事業
前述の事業基盤整備に加え、
| ○ |
現地生産合弁会社CKCMの生産能力増強 (年産1,200台→2,400台体制) |
| ○ |
販売代理店網の整備、サービス契約店の拡充 |
などを中国合弁パートナーと共に推進し、生産・販売およびサービス体制を強化しました。これらの取り組みにより、2003年上期の中国における油圧ショベルの新車販売台数は、大幅に拡大(対前年同期比2.1倍)し、同時にシェアの向上が図れました。
■海外事業 (中国事業を除く)
海外のショベル事業については、(1)当社の主担当地域であるAPACエリアを中心とした事業展開、(2)CNHとのグローバルアライアンスに基づく欧米での合弁事業に取り組みました。
APACエリアの事業展開として、ASEAN地域においては、需要が回復したインドネシアにおける拠点の増強や、ベトナムにホーチミンに続く第2拠点としてハノイ事務所を設置するなど、流通強化に取り組んだ結果、重機ショベルのシェアアップが図れました。さらに景気拡大が続く豪州では、CNH製品の販売が好調に推移して大幅な売上拡大となりました。
欧米でのCNHとの合弁事業では、イタリアの生産・販売拠点「Fiat Kobelco」への技術移転が順調に進展し、重機ショベルのメニュー追加およびミニショベルの量産開始など現地生産メニューのラインナップを拡充できました。また、欧米を軸としたCNHルートへのOEM製品の供給も好調に推移した結果、技術料収入の拡大による収益基盤強化が図れました。
海外のクレーン事業については、クローラクレーンの海外市場開拓に積極的に取り組みました。特に中国のプロジェクト案件向けや韓国の造船業向けに大型機の販売が好調に推移しました。
また、欧米におけるクローラクレーンの販売体制強化の一環として、両地域にクレーン専門の販売会社(米国:KCNA、英国:KCE)を設立し、流通網の整備・強化を図りました。
■国内事業
国内事業では、新車ストック台数が減少するなかで、中古車・部品・整備などストックビジネスによる収益力の向上に取り組みました。特に海外市場からの需要が旺盛な中古車ビジネスについては、中古車取り扱い量を拡大させるとともに、海外自社ネットワークを活用した直貿易率のアップにより中古車価格を改善しました。更なる事業の効率化を目指して、9月末には中古建設機械事業を専門的に運営する新会社「コベルコ建機インターナショナルトレーディング(株)」を設立致しました。
一方、フロービジネスでは、高まる環境ニーズに対応した業界初のオートアイドルストップ機能付き重機ショベルや国内最大級のテレスコピッククローラクレーンなど独創的な高付加価値商品を開発し、新たに市場へ投入しました。また、需要が旺盛な環境リサイクル分野においては、ホイール式スクラップローダや自動車リサイクル関連メニューなど、新製品の品揃え強化に注力致しました。
このようなユーザーニーズに対応した高付加価値商品の相次ぐ新規投入や、レンタル会社向けを始めとする積極的な営業展開が奏功し、重機ショベル、ミニショベル、クローラクレーン、ラフテレーンクレーンの販売台数・シェアを大幅に伸ばしました。
【今後の重点課題と2003年度の見通し】
当社は2003年度をコベルコ建機の第二期「発展期」と位置付け、今後更にグローバルな観点から開発・生産・販売・サービス体制を強化し、国際建機市場での地位を高めていきます。
ショベル事業においては、中国浙江省杭州市に第2生産拠点(2005年3月操業開始予定)の設立を計画しており、クレーン事業においては、このほど米国マニトワック社との間で、米州向けクローラクレーンのOEM供給契約を締結し、欧州からはオールテレーンクレーンを導入することで基本合意に達しました。これら旗艦メニューでの更なるグローバル展開を鋭意進めてまいります。
下期においては、下記の重点課題に対して、コベルコ建機グループが一丸となって取り組み、「堂々たる会社」を目指してまいります。
<重点取り組み課題>
| ○ |
他社の追随を許さない特色ある製品の開発・上市活動の推進
| ・ |
ショベルとクレーンの開発で培った差別化技術による商品力強化 |
| ・ |
地球環境に配慮した次世代型ハイブリッドショベル研究開発の促進、早期実用化 |
|
| ○ |
海外合弁事業の強化による事業収益の拡大
| ・ |
中国市場での事業拡大 |
| |
| (1) |
浙江省杭州市における第2生産拠点の着工など、更なる生産・販売・サービス体制の拡充 |
| (2) |
成都神鋼工程機械集団との連携による製販一体運営体制の強化 |
| (3) |
豊田通商との合弁投資会社設立による販売・サービス・調達・物流等における協同事業展開の推進 |
|
| ・ |
CNHとの提携効果の最大化 |
| |
| (1) |
イタリア合弁会社への技術供与による現地生産の完全実施 |
| (2) |
グローバル調達によるコストダウン追求 |
|
|
| ○ |
伸びる市場への積極展開
| ・ |
ASEANを中心としたAPAC全域における販売体制強化 |
| ・ |
環境リサイクルメニューなどの新分野事業拡充・中古車・部品・整備などのストックビジネスの充実 |
|
| ○ |
メニュー別・セグメント別の縦割り事業運営の実行 |
<2003年度通期の見通し>
| |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期利益 |
| 2003年度通期予想 |
180,000
(+14.4%) |
7,400
(+81.9%) |
5,000
(+93.9%) |
2,100
(+174.9%) |
| [前回発表予想*] |
160,000 |
6,000 |
4,000 |
1,500 |
| 2002年度通期実績 |
157,398 |
4,068 |
2,579 |
764 |
| |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期利益 |
| 2003年度通期予想 |
120,000
(+21.7%) |
3,700
(+100.7%) |
2,600
(+96.8%) |
1,900
(+356.7%) |
| [前回発表予想*] |
113,000 |
3,000 |
2,000 |
1,200 |
| 2002年度通期実績 |
98,619 |
1,843 |
1,321 |
416 |
* 前回発表予想:2003年5月16日の決算発表時に公表した2003年度通期の予想数値
○ 2003年度下期における為替レート前提:1米ドル=115円、1ユーロ=130円 |
以上
○決算発表関連資料はこちら
◇中間決算短信(連結・単体)へ
| 社 名 |
コベルコ建機株式会社 |
| 英 社 名 |
KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY CO.,LTD. |
| 創 立 |
1999年10月1日 |
| 本社所在地 |
東京本社:東京都品川区東五反田2-17-1
TEL 03-5789-2111(代表) |
| 資 本 金 |
160億円
(株)神戸製鋼所 80%、 CNHグループ 20% |
| 代表取締役 |
石田 孝(いしだ たかし) |
| 事業内容 |
建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス |