2003年5月16日
コベルコ建機株式会社

2003年3月期 決算発表について

【2002年度の概況】

 世界の建設機械市場は、急速なインフラ整備に後押しされて拡大する中国市場に注目が集まる中で、欧米市場は景気の翳りと共に減速基調を明確にしており、ASEAN市場では回復に未だ不透明感が漂っております。そして国内市場では、公共工事、住宅投資、民間設備投資の減少により需要下落傾向が続くなど、エリア毎に斑模様な状況となりました。

 この様な事業環境変化の下、伸長著しい中国市場での収益拡大策を積極的に進めるとともに、CNHとの提携事業の推進による欧米市場へのコベルコ技術の拡大を実行しました。 また、国内では安定した収益体質への転換に向け、国内販売会社・系列レンタル会社の経営体質の強化を実行するなど、事業基盤整備を進めました。

  この結果、2003年3月期(2002年4月~2003年3月)の業績は以下の通りとなりました。

<2002年度通期の実績> {単位:百万円、 ( )内は前年度比}
売上高 営業利益 経常利益 当期利益
連 結 当期 157,398
(+6.1%)
4,068
(+119%) 
2,579
(+293%)
764
(+2,287%)
前期 148,304    1,859 656 32
単 体 当期 98,619
(+11.6%)
1,843
(+40%)
1,321
(+126%)
416
(+9%)
前期 88,366   1,317 584 382

 連結の売上高では、海外事業が652億円(前年度比 +14.5%)、国内事業が922億円(同 +0.9%)とともに増え、全体としては1,574億円(同 + 6.1%)となりました。

 収益面においても、国内新車需要の低迷を、国内部品・整備事業の拡大、中国・ASEAN・CNH欧州向けの拡販、海外生産向け部品収益・技術料収入の拡大などでカバーし、営業利益・経常利益・当期利益いずれも前年度に比べて大幅に上回る数値を計上することができました。
 特に、伸長著しい中国市場における現地生産の増産対応が大きく収益に寄与しました。

 特別利益としては、CNHとの提携による株式の売却などで36億円強の収益がありましたが、補修用部品や中古車の評価基準見直し、更には国内連結会社の体質改善にこれを充当し、グループ全体としての2003年度への財務体質強化を図りました。

 連結キャッシュ・フローは、CNHとの提携に伴う投資支出を手許資金の取り崩しで賄うとともに棚卸資産の圧縮を中心とした運転資金の改善効果を外部負債の返済に充当した結果、前年度末に比べ外部負債を73億円削減致しました。

 これにより当社は3期連続して連結経常黒字を確保致しました。

 また、当社は新会社として発足後、初の配当を実施することを内定致しました。

【2002年度の事業別状況】

 ■ 海外事業

 海外のショベル事業については、(1)中国の合弁事業、(2)CNHとのグローバルアライアンスに基づく欧米の合弁事業、(3)当社の主担当地域である中国を含むAPACエリアを中心とした事業展開に取り組みました。

 中国の合弁事業では、期初の予想を大幅に上回る好調な市場環境の中、販売拡大に向けた販売網強化・サービス契約店の拡充を積極的に推進し、現地生産量の拡大や国内生産機の輸出などもあり、大幅に売上げ台数を伸ばしました。
  欧米でのCNHとの合弁事業では、現地生産機の技術開発のスピードアップによる技術料収益の拡大に努めました。また、2002年7月に設立したイタリアの合弁での生産・販売拠点「Fiat Kobelco」においては、03年1月より当社技術での重機ショベルの量産が開始されました。
  加えて、CNHルートへのOEM製品の供給を開始するとともに、従来のコベルコルートでの新機種投入が好調に推移し、売上・収益を拡大することが出来ました。

  これらの合弁事業による現地生産部品並びに技術料収入の拡大が、今期の収益改善に大きく寄与しました。

  また、APACエリアにおける事業展開として、ASEAN地域ではマレーシア・インドネシアにおける販売会社の設立、今後成長が見込めるベトナムへの拠点設置などの流通強化に取り組み、重機ショベルでのシェアアップが図れました。
 一方、景気拡大が続く豪州ではCNHの販社および製品の取り込みによって大幅な売上拡大となりました。

  そして、海外のクレーン事業については、クローラクレーンの海外市場開拓に積極的に取り組んだ結果、中国市場への大型機の販売量拡大もあり売上げを伸ばしました。

■ 国内事業

  国内事業では、収益の源泉を既存メニューの新車販売から中古車・部品・整備といったストックビジネスに求めるとともに、環境リサイクル分野を中心とした新メニューの品揃え強化に注力致しました。加えて、国内関係会社の資産健全化に取り組むと同時に、中古車営業部および環境・プロジェクト営業部の設立、調達機能の集約化、クレーン営業部隊の強化など、組織改革による体制強化を図りました。

  その結果、環境リサイクル分野においては、当社が強みを持つ建物解体機市場への国内最大の160トン解体機や、金属リサイクル向け特殊仕様機の投入により、付加価値の高い同分野のショベル販売での構成比は拡大傾向となりました。
  また、中古車市場が活況を示す中で、中古車取り扱い高の増加、特に海外自社ネットワークを活用した直貿易率のアップによる中古車価格の向上も進み、国内販売会社においては整備部門収益の伸びと加えて収益が改善しました。

  クレーン需要は前年度比で更に落ち込みましたが、クレーン営業部隊の強化に加えて、積極的な中古車対応もあり、クローラクレーンでは、最終四半期にシェア1位の座を奪還することができました。

  国内の生産拠点においては、海外向け生産量の拡大により、ショベルの生産は下期以降ほぼフル操業の状態となりました。また、生産量の拡大を梃子に一層の資材費削減や、生産メニューの最適化による負荷平準化にも取り組みました。
  開発面においても、優先度・負荷に応じて柔軟に開発パワーをシフトできる体制づくりに取り組みました。

【今後の重点課題と2003年度の見通し】

  当社は2003年度をコベルコ建機の第二期「発展期」と位置付け、今後更にグローバルな観点から開発・生産・販売・サービス体制を強化し、国際建機市場での地歩を固めるとともに、一方、国内については技術開発・グローバルな戦略展開の中心軸たるべく、情報・企画立案の拠点と位置付け、国内市場においても確固たるプレゼンスの確立を目指して参ります。

  <選択する重点分野>

  ○他社の追随を許さない特色ある製品の開発・上市活動の推進
     (ショベル技術部門とクレーン技術部門の統合による開発生産本部の新設)

  ○海外合弁事業の拡大による事業収益の拡大化
     ・ 中国市場での事業拡大
        増産に向けた生産体制の拡充、上海でのサービス拠点設立

     ・ CNHとの提携効果の最大化
        イタリア合弁会社における8モデル上市、ミニショベル量産開始

  ○伸びる市場への体制確立とストックビジネスの展開
     ・ ASEANを中心としたAPAC全域への輸出事業強化
        ベトナム、インドネシアにおける拠点の増強

     ・ 環境リサイクルメニューなどの新分野事業拡充

     ・ 中古車/部品/整備などのストックビジネスの充実

  ○国内外におけるクレーン営業体制強化

  ○国内ショベル販売拠点の整理統合

<2003年度の見通し> {単位:百万円、 ( )内は前年度比}
  売上高 営業利益 経常利益 当期利益
連 結 160,000
(+1.7%) 
6,000
(+47.5%)
4,000
(+55.1%) 
1,500
(+96.3%) 
単 体 113,000
(+14.6%)
3,000
(+62.8%) 
2,000
(+51.4%) 
1,200
(+188.5%)

   なお、2003年度における為替レートは、1米ドル=115円、1ユーロ=120円を前提としています。

 以上

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■会社概要
社     名 コベルコ建機株式会社
英  社  名 KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY CO.,LTD.
創     立 1999年10月1日
本社所在地 <東京本社> 東京都品川区東五反田2-17-1
                TEL:03-5789-2111(代表)
資  本  金 160億円
 (株)神戸製鋼所 80%、CNHグループ 20%
代表取締役  石田 孝(いしだ たかし)
事業内容  建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス

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