【2002年中間期の概況】
国内の建設機械市場は、公共工事の抑制並びに民間設備投資の減少などにより、依然として底打ち感が見られず、ショベルおよびクレーン各々の主力メニューの需要は前年同期比24~25%程度落ち込む結果となりました。
一方、海外の市場動向は、景気の翳りとともにピークアウトした欧米市場、回復基調といえども厳しさの残るアジア市場、急速なインフラ整備に後押しされて中型機以上の油圧ショベルを中心に大きく広がる中国市場と、エリア毎に斑模様な状況となりました。
この様な事業環境の中で、ASEANを中心とした海外マーケットへの積極展開により、当社単体の半期ベースの売上高としては、初めて輸出向けが国内向けを上回りました(輸出比率 52%)。
また、国内外における部品・中古車・整備などのストックビジネスの強化による収益性の向上にも取り組みました。フロービジネスについては、ショベルとクレーンの技術を融合・結集した解体機や、破砕機などの新製品を上市して、新たな成長が見込まれる環境リサイクル分野での拡販に取り組みました。
更に、伸長著しい中国市場においては、現地生産の増産対応が大きく収益に寄与しました。
その結果2002年中間期(2002年4月~9月)の連結決算は、国内需要の低迷を東南アジア・欧州・中国での拡販と部品・整備事業の積極展開で吸収し、経常利益、当期利益ともに前年同期を大幅に上回る数値を計上することができました。これにより当社は半期ベースで5期連続して連結経常黒字を確保致しました。
また、特別利益としてCNHとの提携による株式の売却益34億円強がありましたが、デフレ経済の状況下においてもストックビジネスで着実に利益を確保すべく補修用部品、中古車の評価基準見直しなど財務体質強化に向けてこれを充当致しました。
なお、当中間期の連結キャッシュ・フローは、CNHとの提携に伴う投資支出を手許資金の取り崩しで賄うとともに棚卸資産の圧縮を中心とした運転資金の改善効果を外部負債の返済に充当した結果、前年度末に比べ外部負債を59億円削減することができました。
<2002年9月中間期の実績> |
{単位:百万円、( )内は前年同期比} |
中間期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期利益 |
連 結 |
73,330
(△1.1%) |
1,482
(+30.2%) |
674
(+71.5%) |
177
( - ) |
単 体 |
46,943
(+9.5%) |
858
(+170%) |
321
(+844%) |
36
( - ) |
今年7月、CNHとの欧州エリアでのクロージングにより、欧州に建設機械の生産販売を行う合弁会社「Fiat Kobelco」が誕生し、当社はFiat Kobelco社の発行株式20%を取得致しました。
これに伴い、CNHは当社の発行済株式の持分比率を10%から20%に増加し、両社の提携関係をより一層強化致しました。
【2002年度上期の部門別状況】
■ショベル事業
公共工事の減少や民間需要の低迷を背景として、国内需要は重機ショベル(前年同期比△24.4%)、ミニショベル(同△18.7%)と大幅に落ち込みました。
この様な環境変化へ柔軟に対応するべく、中期経営計画で掲げた収益構造の変革に取り組みました。具体的には、新車販売などのフロービジネスにおいて、金属リサイクル向け特殊仕様機や建物解体専用機、破砕機など環境リサイクル分野を中心とした品揃え強化を図りました。
また、部品・整備・中古車などストックビジネスの強化については、国内外における中古車販売体制の見直しや部品再生事業の更なる推進に取り組みました。
一方、海外市場においては、APAC・欧州での流通強化策によるシェアアップや、中国市場拡大に伴う現地生産増加により、収益を確保することができました。また、「Fiat Kobelco」設立に伴い、03年1月以降順次上市していくFiat Kobelcoモデルの開発と、現地生産体制のサポートにも注力しました。
これらの結果、ショベル事業の連結売上高は652億円(同+1.7%)となりました。
■クレーン事業
国内の新車需要は、ラチスブームクローラクレーン(LBCC)が前年同期比△25%、ラフテレーンクレーン(RTC:ミニ含む)が同△18%と大幅に落ち込みました。
このような状況下、国内では新車販売に加えて、RTCのリニューアル事業および中古車事業などのストックビジネスを強化し、また部品の内製化など事業基盤の強化にも取り組みました。
一方、海外においては、需要旺盛な北米および中国市場への大型機の拡販で販売台数を伸ばしました。
これらの結果、クレーン事業の連結売上高は81億円(△19.3%)となりました。
【下期の重点課題と通期の見通し】
2003年度以降始まるコベルコ建機の第二期「発展期」へ向けて、この下期を助走期間と位置付けます。下記を重点分野として選択し、そこに経営資源を集中していきます。
<選択する重点分野>
~フロー&ストックビジネスの展開(機械のライフサイクル全体での収益の創出)~
● |
環境リサイクルメニューなどの新分野事業 |
● |
ASEANを中心としたAPAC全域への輸出事業 |
● |
部品・中古車・整備などのストックビジネス |
● |
伸長著しい中国市場での事業拡大 |
● |
CNHとのグローバルアライアンスにおける効果の最大化
◇世界調達による購買コストの削減
◇エリアニーズに合致した「Fiat Kobelco」モデルのスムーズな立上げ、市場投入 |
また引き続き、財務体質強化、国内の販売・サービス拠点統廃合による固定費削減に取り組み、 更なる事業基盤の強化を推進していきます。
<2002年度の見通し> |
{単位:百万円、( )内は前年度比} |
|
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期利益 |
連 結 |
145,000
(△2.2%) |
3,700
(+99%) |
2,100
(+220%) |
300
(+838%) |
単 体 |
100,000
(+13.2%) |
2,000
(+51.9%) |
1,000
(+71.2%) |
100
(△73.8%) |
尚、2002年度下期における為替レートは、1米ドル=115円、1ユーロ=115円を前提としています。 |
以上
○決算短信はこちら
◇決算短信(連結・単体)へ
社 名 |
コベルコ建機株式会社 |
英 社 名 |
KOBELCO
CONSTRUCTION MACHINERY CO.,LTD. |
創 立 |
1999年10月1日 |
本社所在地 |
東京本社:東京都品川区東五反田2-17-1
TEL 03-5789-2111(代表) |
資 本 金 |
160億円
(株)神戸製鋼所 80%、 CNHグループ 20% |
代表取締役 |
石田 孝(いしだ たかし) |
事業内容 |
建設機械、運搬機械の製造、販売並びにサービス |