2001年11月7日
コベルコ建機株式会社

2001年度中間期決算発表について

【2001年中間期概況】

 我々を取り巻く事業環境は、国内では、公共投資や住宅投資、民間設備投資の長期低迷に伴い建設工事も低調に推移しました。加えてリース、レンタル化が進む中、需要は既に飽和状態にあり、販売台数・収益ともその影響を受けて極めて厳しい状況となりました。一方海外では、同時多発テロの影響によって北米の景気後退が加速し、欧州の建機需要が頭を打ち、アジアの市場回復が依然遅れている状況であり、国内外共に需要は減少し、且つ先行き不透明感も極めて強い状況と言えます。

 この様な事業環境下、新会社設立時より取り組んで参りましたリードタイム短縮や物流改善といった事業コストの圧縮策や、財務体質強化、情報装備強化等の事業体質強化に向けた施策を引き続き実施いたしました。また、先行き不透明感からくる新車購入意欲の減退による販売量の減少を補うため、新車販売によるフロービジネスから部品・中古車・整備を中心としたストックビジネスに利益の源泉をシフトすべく取り組んで参りました。

 その結果、厳しい事業環境下ではありますが当中間期においても、黒字を計上しており、新会社設立時より連続して収益を確保しております。新会社設立以降取り組んできた種々の事業体質強化策が着々と成果をだしているものと認識しております。

 また、2000年度末にFIATグループの農業機械・建設機械メーカーであるCNH社とグローバルアライアンスを行うことで基本合意(2001年3月29日発表済)し、その後具体的な契約内容に関する交渉を進め、9月18日に最終契約書(Global Alliance Framework Agreement)に調印(同9月18日発表済)いたしました。一方、クレーン事業では、昨秋締結したラフテレーンクレーンでの(株)タダノ社との業務提携において、提携1号機となる25t ラフテレーンクレーンの試作機が完成するなど、着実に協業作業を実施しております。また、高砂工場(兵庫県高砂市)、大久保工場(兵庫県明石市)の2拠点での生産体制を大久保工場の1拠点への集約を実施しました。この様に、ショベル事業、クレーン事業のそれぞれにおいて中長期的な目標であるグローバルなリーディングカンパニーに向けた取り組みを継続的に実施しております。

 2001年9月中間期(2001年4月~9月)の連結決算は、売上高742億円、営業利益11.4億円、経常利益3.9億円となっており、経常利益ベースでは新会社設立時より継続して収益を確保する事ができました。また単体での決算は、売上高429億円、営業利益3.2億円、経常利益0.3億円となっております。

 なおキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフロー4億円、投資活動による支出が10億円、財務活動(借入金の返済)による支出が15億円となりました。
 その結果、現金並びに現金同等物の期末残高は、164億円と前期比20億円の減少となりました。

(単位:百万円)

中間期 売上高 営業利益 経常利益
連結 74,168 1,138 394
単体 42,853 319 34

◇貸借対照表へ
◇損益計算書へ

【下期重点課題と通期の見通し】

 我々を取り巻く環境は国内外とも依然厳しく、先行き不透明感も極めて強い状況と言えます。その劣悪な環境下でも安定的に収益を確保できる『環境変化に強い事業体質』の完成に向け、利益の源泉をストックビジネスにシフトしていくことも含め、下記の4点を重点課題と位置付け、事業基盤の強化を積極的に図っていきます。

(1)販売サービス体制の見直しによる固定費の削減
 (効果:10%/年削減)

(2)新調達戦略の導入による徹底的なコストダウンの実施
 (効果:変動費5%/年削減)

(3)製販一体でのリードタイム短縮と在庫削減

(4)情報ネットワーク強化によるナレッジマネージメント展開

<2001年度の業績見込み>

(単位:百万円)

売上高 営業利益 経常利益
連 結 158,000 3,500 1,600
単 体 92,700 1,500 530

【上期の部門別状況】

 ・ショベル事業 

 公共事業見直し等からくるレンタル業者の購入意欲の減退により、国内需要は重機ショベル、ミニショベルともに大きく予想を下回る状況であり、新車を中心とするフロービジネスにおいては投入資源の見直しや、事業コストの更なる削減等、課題を多く残した厳しい状況となりました。逆に、新車以外のストックビジネスにおいては、部品再生工場の稼働開始、国内ブロック販社の整備事業等が収益を上げ、グループ収益の下支えをしております。

 一方海外市場は、北米市場の景気後退による販売台数減の影響を受けましたが、昨年度より実施している欧州での流通強化策、および需要の増加が顕著な中国市場での拡販が奏効し、台数及び収益にも大きく貢献しております。

 また、東南アジアの低賃金をベースとした価格競争力をグループで享受すべく、タイのTKCM社を製缶構造物の部品工場とし、日本/アメリカへ出荷することによりグループ収益に寄与しています。

 ・クレーン事業

 国内新車需要は、ラチスブームクローラクレーン(LBCC)、ラフテレーンクレーン(RTC)共に依然減少傾向が続いていており、LBCCではトップシェアは維持するものの昨年同期並みの台数は確保できず、収益的にも厳しい状況となりました。

 この様な中、事業コストの大幅な削減に向けた取り組みとして(1)生産拠点の集約 (2)販売組織の再編という様な要員削減等のスリム化を実施しております。また新車需要の望めない中で、ストックからの収益を確保すべくRTCのリニューアル事業への参入や中古車事業の強化などの取り組みを実施致しました。

 また新機種開発では、LBCCとRTCの技術を融合させて短期間で開発した新メニューを上市しております。また、同様な新規メニューの強化を図るための専門の部署も新設いたしました。 

【下期の部門別推進項目】

 ・ショベル事業

1)グループ企業も含めた最適販売サービス体制に向けた取り組み 
 (拠点の統廃合を検討/実施 :2割の拠点の統廃合を検討)

2)新分野商品の早期品揃えと販売専任体制による拡販
 (量産特機・解体・リサイクル)

3)CNH社との共同事業の推進

CNHメニューの早期投入(APAC *注)

開発の効率化(3D-CAD導入によるPDMの推進)と欧州現地生産に向けた体制整備

APAC地区の早期立ち上げによる収益貢献

*注 APAC:日本を含めたアジア太平洋地域

・クレーン事業

1)(株)タダノ社との提携効果の最大化

2)組織統合による効率化と要員削減効果の取り込み

3)海外拡販への資源投入(特に最大需要地である北米強化)

  これらの重点施策に加えて、継続的なスリム化とコスト削減活動で事業の成長と収益の確保を図ってまいります。

  上記背景を踏まえ、2001年度の業績は、連結では売上高 1,580億円、営業利益 35億円、 経常利益 16億円、単体では売上高 927億円、営業利益 15億円、経常利益5.3億円を見込んでおります。 

 尚、本業績見通しにおける為替レートは、1米ドル=120円、1ユーロ=105円を前提としています。

 以上

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