当社はこのほど、クレーンとグラブの機能を兼ね備えたクレーン・グラブ兼用船『ファーストクラス』シリーズに、グラブ直巻能力25t及び45tの巻上装置を油圧制御にする事に成功した全油圧式クレーン・グラブ兼用船「F&G3106」及び「F&G3111」(クレーン最大吊上能力は共に310t)をシリーズ化し、新たにラインナップに加え販売を開始致しました。
新型全油圧式クレーン・グラブ兼用船
(左:F&G3106/右:F&G3111)
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F&G3106 |
F&G3111 |
標準仕様価格(除船体) |
3億4千万円 |
3億7千万円 |
目標販売台数 |
6台/年 |
海上工事には、震災や暴風雨から海岸線の侵食を防止する護岸工事、一般港湾や漁港における各種機能の強化整備工事、さらには海上に大規模な土地スペースを新たに造る人工島やメガフロートの建設工事などさまざまなものがあります。
一般的に海上工事は、波浪や風の影響を受け易い特殊な環境下で行われるため、陸上工事とは比較にならない困難な作業となり、工事に使われる作業船にも高度な作業性、安全性、耐久性、快適性等の機能が求められています。
その中の各種港湾工事において近年、クレーン作業では防波堤工事に使われているケーソンやテトラポッド等の消波ブロック及び各種ブロックが大型化傾向にあり、また重量物だけでなく軽量物でも迅速にかつ精度良く安全に作業を行えるために、大きな巻上ラインプルで速いフック速度や、操作性の改善、そして多機能な運転操作とがより必要とされてきています。
バケット作業においては、高速動力巻下げと施工精度の向上等が望まれていました。
また工事動向の先行き不透明感が強まる中、クレーン作業と直巻力を要するバケット作業・砕岩作業に対して1台で対応が可能な多目的作業船のニーズが、従来にも増して高まってきております。
当社ではこれらのニーズに対応するべく、操作性の向上と多機能な操作の織り込みを可能とする巻上油圧駆動方式で、グラブ直巻25t及び45tのラインプルを備えた全油圧式多目的作業船を開発致しました。
これにより現在主流である機械式巻上装置(トルクコンバータ駆動)において課題であった微操作性、軽荷重操作性、応答性を大幅に改善いたしました。加えて、主巻・補巻同時作業対応の過負荷防止装置や、新機能である主巻・補巻両フックの巻上/巻下同期制御、及び水平引込・鉛直地切制御の開発装備により、作業の安全性、機能性、機動性を大幅に向上させた最新鋭の新世代多目的作業船を完成致しました。
「F&G3106」及び「F&G3111」の主な特長 |
1)高ラインプル・高速巻上油圧駆動の採用(業界初)
従来5m3クラス以上のグラブ能力を有するクレーン・グラブ兼用船に採用されている機械式(モジュレートクラッチ付トルコン)巻上駆動方式においては、巻上操作性(微速・微量操作性、軽荷重操作性、応答性)の向上が課題でした。この度ラインプル余裕比が大きく、本格的グラブ作業が出来るグラブ直巻能力25t及び45tの高ラインプル、高速の油圧駆動巻上システムを開発する事により操作性を大幅に向上させ、重量物から軽量物までの作業をスピーディーに施工することが可能となりました。
2)主巻・補巻同時使用過負荷防止装置の採用(業界初)
従来の過負荷防止装置は、主巻単独、補巻単独使用時のみの対応でしたが、両者同時使用時でも対応できる過負荷防止装置を新開発装備致しました。
それにより吊荷の傾け作業や各種天地作業が行えると共に、玉掛けロープの長さ、吊点の調整作業がなくなるため、作業の効率化が図れると共に安全性も向上します。
3)水平引込・鉛直地切制御の採用(業界初)
従来オペレータが巻上とブーム起伏操作の両方を、複合操作で対応している水平引込・鉛直地切り操作をオペレータの見難い所でも可能とし、安全性と機動性を向上させる新制御を開発しました。
◆水平引込制御(台船傾斜補正)
ブーム起伏操作時に巻上ウィンチが自動的に巻上/巻下動作を行い、吊荷の高さを一定に保ちます。
◆鉛直地切制御
岸壁の吊荷を巻上地切する時の台船傾斜に対し、ブーム起伏操作を自動的に行い吊荷の前後方向の移動を抑えます。
4)電気―油圧制御による多機能な作業
◆主巻、補巻フックの同期巻上/巻下制御(業界初)
ロープ掛け数、ドラム層数が異なっていても自動的にフックの巻上/巻下速度を同一とする制御により、主巻・補巻同時運転作業をより安全に、スピーディーに行えます。
◆水平掘削バケット作業(業界初)
バケット閉じ動作に、バケットを自動的に巻下及び巻上制御することによりバケット刃先軌跡を水平とし、掘削上面をより水平精度を向上できます。
◆3モード選択旋回操作(業界初)
「速度制御」、「トルク制御」と「速度+トルク制御」の3モードを装備して、作業とオペレータの好みに応じて切替使用ができます。
《 標準仕様 》
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F&G3106 |
F&G3111 |
■クレーン性能 |
最大吊上能力 t×m |
310×9.2 |
310×9.2 |
標準ブーム長さ m |
22~37 |
22~37 |
定格ラインプル |
主巻/補巻/3rd t |
18/13/14 |
19/19/14 |
ロープ
速度 |
主巻
(1層目) |
巻上 m/min |
最大100/定格70 |
最大100/定格100 |
巻上 m/min |
最大100/定格100 |
最大100/定格100 |
補巻
(1層目) |
巻上 m/min |
最大100/定格100 |
最大100/定格100 |
巻上 m/min |
最大100/定格100 |
最大100/定格100 |
3rd
(1層目) |
巻上 m/min |
最大100/定格80 |
最大100/定格80 |
巻上 m/min |
最大100/定格100 |
最大100/定格100 |
ブーム起伏(巻上 巻下) |
75×2 |
75×2 |
■グラブ性能 |
巻上荷重(直巻)×最大作業半径 t×m |
25×21.0 |
45×21.0 |
ブーム長さ m |
22~37 |
22~37 |
浚渫深度(水面下)/揚程(水面上) m |
30/10 |
40/6 |
グラブバケット |
呼称容量 m3 |
3.5~6.5 |
4.0~11.0 |
自重 t |
12.4~18.0 |
23.0~37.0 |
■駆動方式 |
巻上 |
油圧駆動 主・補独立回路
(速度制御、トルク制御切替システム付) |
ブーム起伏 |
油圧駆動 |
旋回 |
油圧駆動(速度制御、トルク制御切替システム付) |
■主要寸法 |
後端旋回半径 m |
6.5 |
6.5 |
標準台船寸法(長さ×幅×高さ)m |
52×22.2×3.9 |
52×22.2×3.9 |