2001年5月10日
コベルコ建機株式会社

2001年3月期 決算発表

【2000年度概況】

 我々を取り巻く事業環境は、国内においては、公共工事及び民間建設工事が共に低調に推移した結果、需要減退につながり依然厳しい状況となりました。一方海外においても、欧州についてはユーロ安の中、需要は堅調に推移致しましたが、好景気を持続していた米国経済が後半には減速し始め、アジア経済については、依然回復が遅れている状況にあり先行きが懸念される状況となりました。

 この様な事業環境下、当社は新会社設立時に掲げた下記3点の重点課題への取組みを推進してまいりました。

  1. 黒字化の達成
  2. 安定収益を確保しうる体質改善
  3. グローバリゼーション 

 このうち黒字化の達成については、後方超小旋回機の市場浸透と国内レンタルネットワークの拡大、充実が合致した事と、一昨年に統合再編成した国内5ブロック販社や海外現地法人を核とした流通強化が進み、設立以降継続して収益を確保することができました。また体質改善におきましては、リードタイム短縮や物流改善といった事業コストの圧縮努力や、財務体質強化、情報装備強化等の事業体質強化に向けた種々の施策に取り組んでおり、着実に改善効果が出ております。

 最後にグローバリゼーションですが、2000年度末にFiatグループの農業機械・建設機械メーカーであるCNH Global社と、建設機械事業においてグローバルアライアンス(全世界包括提携)を行うことで基本合意致しました。 昨秋締結した、ラフテレーン事業での(株)タダノ社との業務提携とともに、これらの提携による効果は2001年度以降に見込めるものですが、ショベル事業、クレーン事業のそれぞれにおいて中長期的な目標であるグローバルなリーディングカンパニーに向けた取組みを開始致しました。

 その結果、単体の2001年3月期(2000年4月~2001年3月)決算は、売上高1,040億円、経常利益は16億円と初年度に続き連続して収益を確保する事ができました。当期純利益は、事業体質強化の為の会計基準の変更に伴う退職給付会計への移行による差異の償却等を繰入れ、10.7億円を計上致しました。また連結決算では売上高1,584億円、経常利益31億円、当期純利益は7.6億円となり、中間期決算発表時に申し上げました予想数値に対し、計画通りの実績を計上する事ができました。

 なお前年度との比較は、一昨年が半年間の変則決算であったため年間での比較はできませんが、単体の半年間での比較('99年下期と'00年下期)では、売上高△8.8%、経常利益+192%の減収増益となっております。

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【部門別の状況】

『ショベル事業』

 国内需要が伸びない中、重機ショベルにおいては他社に先駆けフルライン上市した後方超小旋回機『グランビートル』シリーズと、中大型機で大幅に耐久品質を向上したダイナミックアセラシリーズが継続して市場の評価を受け、且つレンタルネットワークの充実も相俟ってシェアアップとなりました。
 またミニショベルにおいても業界初となるTOPSキャノピ(横転時オペレータ保護構造)を搭載したNewビートル&セイバーシリーズを市場投入し、ユーザーより大きな評価を頂き、昨年度に比べ2ポイントと大幅なシェアアップを果たしました。
 海外市場においても、安全性、狭所作業性に優れた後方超小旋回機『グランビートル』シリーズが市場浸透したことに加え、欧州での流通強化策が奏効し、前年度を大幅に上回る販売台数となりました。またミニショベルにおいてもNewビートルシリーズが好調に推移した欧州市場を中心に着実に浸透し、昨年度を上回る実績となっております。

『クレーン事業』

 国内の需要環境は、'97年から4年連続して需要は落ち込み、クローラクレーン、ラフテレーンクレーン共依然厳しい状況が続いています。
 その劣悪な需要環境下、一連の事業コスト圧縮策としてキャリア部の全面生産委託やクレーン部の部品の共同購入等、(株)タダノ社と生産面で業務提携を行いました。またクローラクレーンにおいては、トップシェアを維持するものの、国内販売台数の落ち込みをカバーする為に、最大需要地となった北米をはじめとし欧州、東南アジアの各々の地域のニーズに合致した専用仕様機をシリーズ化し投入しております。
 また国内クレーンメーカーで唯一、クローラクレーンとラフテレーンクレーンを保有しているメリットを生かし、両メニューの技術を融合して開発したテレスコピッククローラクレーン『TK550』も基礎工事業者を中心に市場浸透が進み、新メニューとして市場認知されるまでに至っております。

【連結キャッシュフローの状況】

 2000年度のキャッシュフローについては、営業活動によるキャッシュフロー 107億円、投資活動による支出が 87億円、財務活動(借入金の返済)による支出が 118億円となりました。 その結果、現金並びに現金同等物の期末残高は、 164億円と前期に比べ 96億円の減少となりました。

【次期の見通し】

 我々を取り巻く事業環境は、国内においては公共事業、住宅投資の減少、また海外においては欧米の景気後退感、アジア市場の回復遅れ等、依然厳しく先行き不透明感が極めて強いと言えます。その様な悪環境でも安定的に収益を確保でき得る事業基盤を構築する為に、下記の3点を目標とした種々の施策を強力に推進し、事業競争力の強化を図って参ります。

  1. 提携によるグローバルなリーディングカンパニーの地位獲得
    フルライナーメーカー、グローバルな生産拠点と流通網の構築
  2. 安定的事業基盤の確立
    中期的課題でもある全社横断プロジェクト推進による事業運営の効率化と事業コストの圧縮
  3. ストックを対象としたビジネスの強化
    中古車、整備/部品サービス事業等の強化と市場ストックを対象とした新ビジネスの創出

メニュー別推進項目

ショベル事業

  1. CNH社との事業共同化に向けた取組み
    ・開発の効率化と欧州生産拠点のスムーズな立上げ
    ・国内のフルライナー化による新メニューの市場投入
  2. 国内レンタルネットワークの強化
  3. 新分野商品の拡販(量産特機、解体機/リサイクル機)

クレーン事業

  1. タダノ社との提携効果の最大取り込み
  2. 海外拡販への資源投入(特に最大需要地である北米強化)

 これらの重点施策に加えて、継続的なスリム化とコスト削減活動で事業の成長と収益の確保を図ってまいります。
 上記背景を踏まえ、2001年度の業績は、単体で売上高950億円、経常利益12億円、連結では売上高 1,500億円、経常利益27億円を見込んでおります。
 なお、本業績見通しにおける為替レートは、1米ドル=115円、1ユーロ=110円を前提としています。

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