株式会社神戸製鋼所(社長:水越 浩士、以下:神戸製鋼)及びコベルコ建機株式会社(社長:森脇 亞人、以下:コベルコ建機)は、Fiatグループの農業機械・建設機械メーカーであるCNH
Global N.V.社(社長:Paolo Monferino、以下:CNH)との間で、建設機械事業におけるグローバルアライアンスを行うことで合意し、本日、基本合意書に調印いたしました。
コベルコ建機とCNHはこの基本合意に基づき、油圧ショベルのマーケティング・開発・生産及びCNHが有している油圧ショベル以外の建設機械の販売に関して、新たな協力関係を構築していくこととなります。この提携によって、世界第3位の建設機械メーカーであるCNHと、油圧ショベルメーカーとしては世界第4位のコベルコ建機がグローバルパートナーとなり、世界3大建設機械メーカーの一角をなすことになります。
今回の提携の概要は以下の通りです。
1.提携の狙い
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コベルコ建機グループとCNHが各々の株式を相互に持ち合うことで強固な関係を構築し、全世界におけるトップクラスの建設機械メーカーグループとしての地位を確固たるものとします。
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CNHが推進している*1「マルチブランド・マルチ流通戦略」を採用することで、規模の拡大による経済性の追求、調達コストの低減、生産効率の向上、更なる流通力の強化、を図るとともに、販売台数・売上高・利益の最大化を目指します。
2.地域別の提携内容
日本
神戸製鋼が保有するコベルコ建機の発行株式の20%をCNHに譲渡します。CNHは将来、取得する株式を35%まで引き上げる権利を有します。
コベルコ建機は従来どおり、「Kobelco」ブランドの油圧ショベルの生産販売を継続するのに加えて、CNHが生産する油圧ショベル以外の建設機械の総代理店となり、これらの建設機械を「Kobelco」ブランドとして販売します。
アジア・太平洋
CNHが運営している豪州、シンガポール、中国における建設機械事業の販売拠点をコベルコ建機が全面的に買収します。加えて、コベルコ建機はCNHの生産する油圧ショベル以外の建設機械(「Case」、「New
Holland」ブランド)を独占販売します。
コベルコ建機の拠点であるKobelco International (S) Co.,Pte.Ltd.社(KISCO、シンガポール)、成都神鋼建設機械有限公司(CKCM、中国)、Thai
Kobelco Construction Machinery Ltd.社(TKCM、タイ)は従来どおり、「Kobelco」ブランドの油圧ショベルの生産販売を継続します。また、日本から同地域への油圧ショベルの輸出も継続します。
北・南米
CNHがコベルコ建機の生産販売拠点であるKobelco America Inc.社(以下:KAI)の発行株式の65%を取得します。KAIは、引き続き「Kobelco」ブランドの油圧ショベルを生産販売します。
欧州
今後2年以内に、CNHとコベルコ建機は、油圧ショベルなどの生産販売を行う合弁会社Fiat Kobelco社(仮称、イタリア)を設立し、コベルコ建機は同社の発行株式の20%を取得します。コベルコ建機は将来、取得する株式を35%まで引き上げる権利を有します。
Fiat Kobelco社では、「Fiat Kobelco」ブランドの建設機械を製造販売します。また、同時にコベルコ建機の販売拠点であるKobelco
Construction Machinery(Europe)B.V.社(KCME、オランダ)はFiat Kobelco社の傘下に入り、引き続き「Kobelco」ブランドの油圧ショベルを販売します。従って、欧州地区では、「Fiat
Kobelco」、「Kobelco」の2種類の油圧ショベルが販売されることになります。加えて、CNHグループが生産する油圧ショベル以外の建設機械を「Fiat
Kobelco」のブランドで販売します。
なお、CNHと日立建機株式会社は、現状の欧州における提携を終了することで合意しております。
3.対象メニュー
油圧ショベル。
コベルコ建機がCNHより供給を受ける土木作業用建設機械として、ホイールローダ、ブルドーザなど。
なお、コベルコ建機のクレーン事業については、日本国内外を含め、その生産体制及び流通サービスに変更はありません。クローラクレーンについては、国内はもとより需要が旺盛な北米を中心に、欧州、アジアへも積極的に事業展開を図っていきます。また、ラフテレーンクレーンでは、昨年11月に基本合意した株式会社タダノとの業務提携の効果を最大限に発揮するべく、協議を進めています。
4.提携に至った背景
コベルコ建機は1999年10月の新会社発足以降、徹底した事業体質の強化を図り、3期連続(1999年度下期、2000年度上期・下期)の黒字化を達成しています。
足下の建設機械の需要は、国内では公共投資の抑制やレンタル需要の増加などにより、依然として厳しい状態が続いています。また、海外でもこれまで好調であった米国市場での減速感が鮮明になっています。
こうした環境の中で、将来にわたって建設機械事業を維持・拡大するために、建設機械のフルライナーへの道を模索していました。また、事業体質の強化と安定的な収益基盤の確立のために、油圧ショベルの需要が旺盛な欧州において、最先端の生産設備を持ったグローバルパートナーとの提携を検討してまいりました。
一方、CNHは、建設機械事業の更なる国際競争力の向上のために、主力メニューである油圧ショベル事業の強化が必要不可欠との観点から、世界一流の技術力を有するパートナーを模索していました。
今回の包括提携はこうした両社の戦略が一致したために実現したものです。
5.提携の意義
今回の提携によりコベルコ建機は、日本を含むアジア太平洋地区において、CNHのこれまでの高い信頼と実績をベースとした製品群を扱うことになります。これによりグローバル市場で勝ち残るための必須条件である建設機械のフルライン化が実現され、売上高・利益の拡大が確実に見込めることになります。
また、日本、アジア、米国に加え、新たに欧州に生産拠点を確保したことでグローバルな最適生産体制が構築されます。さらに、主力メニューである油圧ショベルに関し、日本トップクラスの技術を各生産拠点に導入することで競争力向上が図られると同時に、コベルコ建機の収益基盤の安定化も実現されます。
これらのことが顧客ニーズへのきめ細やかな対応を可能にし、ひいては顧客満足度の向上につながるものと確信しております。
神戸製鋼グループでは本年度よりスタートした「連結中期経営計画」において「グループトータルでの企業価値の向上」を掲げておりますが、本提携により、この経営目標の実現に向けて大きく前進することになります。
以上
(ご参考)
社名 |
CNH Global N.V. |
設立 |
1999年11月
(Case Corporation社とNew Holland N.V.社が合併) |
本社 |
米国ウィスコンシン州ラシーン市(登記上の本社はオランダ) |
社長 |
Paolo Monferino |
事業内容 |
農業機械(売上高世界第1位)、建設機械、金融サービス |
従業員 |
約35,000名 |
売上高 |
100億USドル(2000年12月期)内建機事業は約35% |
主要株主 |
New Holland Holdings社71.42% ニューヨーク証券取引所上場
(New Holland Holdings社はFiat社の100%出資) |
ホームページ |
http://www.cnh.com/ |
社名 |
コベルコ建機株式会社 |
設立 |
1999年10月(神戸製鋼の建設機械部門が独立) |
本社 |
東京都中央区日本橋1丁目3番13号(電話番号 03-3278-7111) |
社長 |
森脇 亞人(もりわき つぐと) |
事業内容 |
建設機械の製造、販売並びにサービス |
従業員 |
約850名(グループトータル約2,400名) |
売上高 |
単体:1,030億円 連結:1,600億円(2001年3月期見込み) |
資本金 |
160億円(神戸製鋼100%出資) |
*1マルチブランド・マルチ流通戦略
販売量の最大化を目的として、両社の複数の流通に対して、それぞれのブランドの強みを活かしつつ、地域特性などに見合った競争力のある製品を供給していくマーケティング戦略。(例:Fiat
Auto社ではAlfa Romeo、Ferrari、Fiat、Lancia、Maseratiの各ブランドの特長や強みを活かして、複数の流通に製品を供給している。)